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 挨 拶

「暁学園設立の趣意書」の初心に立ち返る

 ご高承の通り、暁学園は、終戦直後、宗村佐信初代理事長が「民主的平和国家としての日本の再建は先ず教育の振興が急務である」との強い信念の下に、「文化国家日本ノ新生ハ現下ノ日本国民ノ教育水準ノ一段ノ向上ガ絶対ノ要件デアリ、就中女性ノ豊ナル教養ニ俟ツベキモノ多シ」(「暁学園設立の趣意書」より抜粋)との思いから、1946(昭和21)年に財団法人暁学園として暁女子専門学校と暁幼稚園を設立したことに始まります。

 この「暁学園設立の趣意書」は、宗村前理事長も、学園報229号「学園創立70周年に寄せて」の中で述べておられるように、博愛主義、平和主義、教育の機会均等、女性の社会的進出と地位向上を追い求めている格調高い文章です。今回、改めて精読してみたのですが、あるべき教育への熱い思いがひしひしと伝わってきます。今後、山積する課題を解決していくにあたり、この「暁学園設立の趣意書」の思いを忘れず、そこに流れる精神にもとづいて取り組んでいけば、大きな過誤を犯すことはないと確信しました。迷いが生じた際には、「暁学園設立の趣意書」に立ち返るよう、肝に銘じてまいりたいと思っております。

学園綱領「人間たれ」の具現化に努める

 学園綱領「人間たれ」は、1950(昭和25)年10月に学園綱領制定委員会が招聘され、委員全員が無記名で「綱領」を提案。その中から五嶋孝吉初代学園長が選定し、宗村佐信初代理事長によって承認されたものです。民主的な手続きに則って制定されたこの学園綱領には、当然、「暁学園設立の趣意書」の精神が反映されていることはいうまでもありません。そして、学園の園児・児童・生徒・学生を育てていくための実践的な指針となっています。

 五嶋孝吉初代学園長は、この学園綱領について、「世の移り変わりがどのように激しくとも人間教育のアルファであり、オメガであるものと確信している」と述べています。

 また、その意味するところは広くて深く、「『愛は最高なり』ということと相通ずるものである。抜群の才能を持ち、正義の人であっても愛がなかったら、すべては空しいことである。どのように科学が発達しても、また秩序整然たる社会が作られても、愛がなかったら空虚で不気味であろう。勝者の権力も敗者の愛情に遠く及ばない」と説明しています。何度も読み返すに値する、含蓄に富む言葉であり、説明であるといってよいでしょう。

 社会は、今、大きな転換期に差し掛かっていますが、今後、どのような時代が到来しようとも、根底に「人間」が存在することは厳然とした事実です。人工知能なども飛躍的な発達を遂げていますが、そうであるからこそ人間の知恵と心のバランスがますます必要になっています。これまで以上に心の豊かさや人としての優しさが求められることは間違いありません。初等教育・中等教育・高等教育、各々の段階に応じて、「人を愛し 学問を愛し 美を愛する 豊かな人間」を育てていきたいと考えています。そして、それが現実のものとなるように、今後、より一層教育内容の充実を図り、施設・設備等の教育環境を整備して、学園綱領「人間たれ」の具現化に努力していく所存です。

自覚と責任感を持てる教育

 私は、また、「人間たれ」という学園綱領には、自分自身で考え判断し、物事に対処していく人間になるという意味も含まれていると考えています。これは、もちろん、自分の利益だけを考えるという意味ではありません。自分だけではなく、他の人々や社会のことを考えた上で、自分がとるべき行動を、自分自身の判断で決める、そうした人間を育成するということも綱領には予定されているはずです。

 もちろん、自分自身で判断するということには責任が伴います。とくに最近といえるかどうかわかりませんが、責任感をまったくといってよいほど持っていない人間が多すぎるように思います。社会の一員としての自覚と責任感を持ち、自分の判断で行動する。学園の園児・児童・生徒・学生がそういう人間に育っていくための手助けをしたい。それが、理事長としての私の願いです。

 本年度は、暁学園全体にとって第6次中期経営計画の最終年度にあたるとともに、第7次中期経営計画の策定年度となり、創立70周年を迎えた昨年度と同様に重要な節目の年となります。幼稚園から大学・大学院までを擁する全国的にも稀な総合学園である本学園が、学校間の垣根を越え、相互に紐帯を強めながら、今後も学校法人として持続的に発展を遂げていくためには、それぞれの校種が自律性を高め、積極的に特色を打ち出していくことが肝要であると考えています。70年の歴史と伝統を継承しながら、新たな課題にも挑戦していくため、常に「處事不可有心」の姿勢を忘れずにいたいと思っています。

 私は、行政学の研究者として、35年ものあいだ組織のマネジメントや責任論を考察してきました。この経験を理事長の職務にいささかでも役立てることができればと思ってはおりますが、皆様からの忌憚の無いご意見をお寄せいただければ幸いです。