学園紹介

学園理念

暁学園の設立趣意

学園設立の趣意書

第二次世界大戦が終結して間もない頃、日本が真の文化国家として新生し、平和で豊かな国として発展するには、教育水準の一段の向上、特に女性が教養を高め、女性の社会的地位を向上させることが絶対要件であると考えたのが、平田紡績株式会社の宗村佐信社長でした。当時、女性が学べる専門高等教育機関がなかった三重県では、学ぶ意欲があっても、高等学校卒業以降の高等教育機会を得られない女性が多くいました。そこで、宗村社長は当時の四日市市長吉田勝太郎氏と協力し、「文化国家の建設は次代を担う国民の教育の振興にあり」との趣意の下、1946年3月財団法人暁学園を創立し、県下初の私立女子専門学校が開設されました。暁学園は、豊かで平和な民主国家の実現に貢献することをめざし、向学心あふれる女性のために誕生した学園なのです。

その後も学園は地域から強い要望を受け、既に設置されていた幼稚園に続く、小学校、中学校、高等学校を次々と開校し、1950年には、暁女子専門学校を暁学園短期大学に改組する認可を受けました。創立者宗村佐信先生は、教育への熱意と並々ならぬ奉仕的精神からその半生と私財を捧げ、戦後復興途上の厳しい世情にもかかわらず、県下唯一の総合学園を完成する画期的偉業を成し遂げました。

財団法人 設立認可申請書

理事長挨拶

人間教育に裏打ちされた
特色のある教育を
さらに充実させていく。

創立75周年という節目に理事長に就任しました。最初の四半世紀に暁幼稚園の開園、暁中学校・暁小学校の開校、および暁高等学校(全日制・定時制)の開校、暁学園短期大学の開学と続き、半世紀までには暁中学校・高等学校の中高一貫6年制が発足、四日市大学が開学し、次の四半世紀には四日市看護医療大学が新設され、幼稚園、小学校、6年制中学校・高等学校、3年制高等学校、二つの大学まで、5校1園を擁する総合学園となって今日に至っています。
各校は一貫して、暁学園の建学の精神 「人間たれ」、すなわち人を愛し、学問を愛し、美を愛する豊かな人間形成を教育理念に据え、初等教育においては、「学び合い、認め合い、深め合う」児童同士の関係づくりを通して協働的な問題解決能力や自治管理能力の育成を、中等教育においては、高い学力の形成とともに論理的思考力、判断力、表現力を培い課題を主体的に解決する資質を身につけることを、そして高等教育においては、高度な知識・技術の習得をもって「世界を見つめ地域を考える」真の地域貢献を担う人材育成を、それぞれ目標とした教育を実践しています。

現在社会は、地球規模の困難で緊急度の高い数多くの課題に直面しています。次の四半世紀の入り口に立つ学園を取り巻く社会状況は、今後ますます変化の速度を増し、複雑で予測困難な時代に入ったと言われています。今、改めて宗村南男第三代理事長の言う教育理念「社会の複雑化が進めば進むほど、人間の知恵と心のバランスは強調され、心の豊かさや人としてのやさしさ、主体的に判断し行動できる人格が求められるものです」に立ち返り、人間教育に裏打ちされた特色のある教育をさらに充実させるべく、学園経営に臨んでまいります。

学校法人 暁学園理事長

喜岡 渉

学園綱領「人間たれ」

「人間たれ」が制定された経緯

学校法人設立に必須なのは、創立者による財産の寄附行為と建学の精神です。暁学園は女子教育の向上を設立趣意として女子専門学校から始まりましたが、1950年、幼稚園から短大までの総合学園となるに至り、五嶋孝吉初代学園長が学園全体を貫く教育理念を制定するべきと提言しました。これがいわゆる「建学の精神」とされる私学の根幹ですが、本学園では「学園綱領」として検討が重ねられました。同年10月、学園綱領制定委員会での無記名投書から、五嶋学園長が「人間たれ」を学園綱領に選定し、宗村佐信理事長がこれを承認しました。学園綱領「人間たれ」は学園設立の趣意を反映した建学の精神であり、今も幼稚園から大学まで全校園での教育実践の指針となっています。

↑宗村佐信理事長揮毫の学園綱領「人間たれ」

五嶋先生が「人間たれ」に込めた願い

奈良女子師範学校の教授だった五嶋孝吉先生は、戦後、出征から帰還すると真っ先に宗村佐信社長宅を訪ね、玄関先で私学の女子高等教育学校の設立を懇願したと伝えられています。学園創立後、五嶋先生は幼稚園から短大までの全ての校長を兼務する初代学園長として着任ました。後に奈良女子大学の学長も歴任し、日本の女子教育を牽引した教育者です。 工学博士で、敬虔なクリスチャンでもあった五嶋先生は「人間たれ」の選定にあたり、以下のような言葉を残しています。

↑新聞部生徒と語らう五嶋先生(右)と早川昌彦先生

『人間たれ』はいつの時代にあっても人間教育のすべてを言い表したものと私は確信しています。私はこれが『愛は最高なり』ということと相通ずるものであると考えます。極めて優れた才能を持ち、正義感を持った人であっても、愛がなかったら全ては空しいものです。どのように科学が発達し、文化文明が成熟しても、その愛がなかったらそれは空虚で無意味なものでしかありません。人生では、勝者、敗者の違いも生まれますが、たとえ勝者の権力といえども、敗者の愛情には遠く及びません。私たちはこの「人間たれ」を建学の精神として、これを追求する学園生活を送り、心豊かな人間像に一歩でも近づくよう精進したいと思います。博愛主義、利他的精神を重んじる五嶋先生の言葉は、人としてどう生きるのか、どうあるべきなのかを問いかける、いつの時代にあっても永遠に色褪せることのないメッセージです。